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体験談

哀しみのオーラで恋が生まれた

2017/08/10

ハートの雲

彼女に出会ったのは僕が大学生になりたての頃でした。僕は大学に入っても、これといった目的も持てずにフラフラしていました。せっかく苦労して大学に入ったのに、授業も面白くないし、これと言って興味あるサークルも無い

もともと人と付き合う事が苦手だったので、とりあえず将来就職活動が少しは楽そうな工学部に入っておこう。そんな不純な動機で大学生になったので、当然といえるかも知れません。

そんな退屈に感じていた5月頃、キャンパス内の学食で見知らぬ女子大生に声をかけられました。上級生と思えましたが、顔立ちの綺麗な女の子でした。

サークルのビラを渡されました。そこに書いてあったのは「占い研究会」という文字でした。

たぶん僕がひとりで誰とも話をせずに食事を寂しそうにとっていたので、新入生とわかったのかも知れません。「占い研究会」と言っても、部室も無いサークルだそうで、自主的に仲間が集まって運営されているとのことです。

全部で20人にも満たない小規模な集まりで、男子学生が少ないから探しているとの事でした。怪しいと思いましたし、占いにそれほど興味は持てませんでした。ですが彼女の可愛い顔立ち、優しいゆっくりとした話し方、穏やかなベージュのファッションに惹かれました。

なにか良い匂いがするのです。魔術にかかったのかも知れません。誘われるままに、何の警戒もすることなく参加することにしてしまいました。自分の名前と連絡先を教えます。

今度の新月の日に集まりがあるとのことで、その日に教えられた場所に行きました。

彼女はそのサークルの主催者のような人で、キャンパスの近くのマンションにサークル用の部屋を借りているとのことでした。ワンルームですが10畳くらいの広めの部屋です。バストイレもついていて、普通の女子大生がこんな部屋を借りれるとは思えません。

既に5人ぐらいの学生はいましたが皆女性ばかり。なにか不安半分、そして期待半分という感情でした。やはり外見は彼女が一番可愛い感じでした。

他にも目鼻立ちのスッキリした娘もいたのですが、僕の心の琴線には響きません。2時間ぐらいかけて彼女が星占いの歴史や考え方を説明するという形で終わりました。そのまま他の女性と話をすることも無くその日は何もありませんでした。

別にお金を盗られた訳でも無いしと思っていたのですが、その日から、彼女のことがどうにも気になって仕方がありません。文学部の2回生ということと、連絡先は聞いていましたが、なにか怖くて連絡ができません。

そんな時、彼女の方から「会いたい」と電話を受け、この前の部屋でということでしたので、すぐにOKして部屋に向かいました。下心は無かったといえば嘘になります。

部屋に入るとハーブの様な良い香りがしていました。彼女はそこにこの前に勧誘された時の姿で立っていたのです。誘われる様に彼女に近づいて、身体を抱きしめてしまいました。

欲望というのでなく、優しく受け止めて欲しいという気持ちは強かったと思います。何故か涙が流れ出て仕方がありません。彼女は優しく背中を叩きながら、抱きしめ返してくれました。

それから僕たちの恋は始まったのです。あの日、ひとりで学食で食事をしている僕の背中から、深い哀しみのオーラを感じたそうです。彼女が今まで誰にも感じたことのない哀しみ。それを感じた時に彼女は僕に強い愛を感じてくれた様でした。

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