数学の先生との初恋
私が16歳の高校1年生の時にその先生は私の父と同じ42歳でした。
背が高くさらさらの髪の毛をかきあげる仕草が素敵な人でした。
授業中はとても厳しく不意打ちで問題を解くようあててくるので、他の生徒には恐れられていました。
今もなぜかわからないのですが気付いたら先生を好きになっていました。
授業中わからなかった場所を質問するために友達にお願いして放課後一緒に数学準備室に行ったり、授業が終わって廊下に出て行く先生を追いかけて話しかけたりしていました。
初恋だったこともあり、自分の気持ちを押さえることが難しく、思いきって先生に好きだということを伝えました。
先生も当然私の好意に気付いていて、「先生抱きついていい?」と聞いた時は「みんなに誤解されるよ」と冷静に諭されました。
ただ先生の表情はちょっと嬉しそうで、それを見た私はますます先生を好きになり毎日放課後に数学準備室に通いました。
厳しい態度の先生ですが、準備室の自分のパソコンでソリティアをやっていたり、KinKi Kidsが好きで私に歌って聞かせてくれました。
他の生徒が知らない先生の一面を知ることができてとても嬉しかったです。
先生を好きになって半年くらいたってから、いつものように放課後数学準備室で先生とおしゃべりをしていました。
その時に先生から「○○(私の苗字)は俺にとって特別だ」と言われました。
突然のことですごく驚いてしまい、その後詳しくその言葉について聞いたり触れたりすることができなかったのが残念です。
それから先生もはっきり好きだとは言いませんが、私に好意を示してくれました。
私の小学生時代の卒業文集をどこかから手に入れて見たらしく、「すごく綺麗になったんだね」と言ってくれたり、私がある時体調不良で学校を早退することになったら担任でもないのに自宅まで先生の車で送るよと申し出てくれました。
自分の家や親を先生に見られるのが恥ずかしくて断ってしまいましたが、すごく心配してくれて初めて先生に大切に思ってもらえているなと実感しました。
また、夏休みに自宅に直接電話してきて、自分の娘と息子と公園へ遊びに行かないかと誘われました。
私は当時、高校生で幼稚だったこともありその誘いを素直に喜ぶことができませんでした。
先生に子供がいること自体嫌だったし、奥さんが産んだ子供と遊ぶのは無理でした。
その出来事からなんとなく先生とは気まずくなってしまい、先生から少しずつ離れるような感じになってしまいました。
大人になった今思うと、もし高校生だった私がもっと先生との関係を進展させたいと望んでいたら恐らく先生が世間から非難されてしまうような関係になっていたかもしれません。
そう考えると少し怖いのとそうならなくて良かったように思えます。