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体験談

忘れられない初めて観た日本舞踊

2017/10/12

ハートの鍵

人に恋心を抱くことを「恋をする」と言うのであれば、例えそれが片思いであったとしてもをしていることになりますので、殆どの人は大人になるまでにそれを経験しているでしょう。

中には1度や2度でなく、何度も恋をしたことがある人もいるでしょうし、私もその中の一人ではありました。それでもそんな恋心が相手に通じ、互いが同じ気持ちになって恋愛関係へと発展したのは、必ずしもその全てではありません。

言い換えれば、いくつかの恋は実ることがなかったということです。実らなかった恋、また実って恋愛へと発展しても結婚までには至らなかった恋愛、それを失恋と呼ぶのでしょうが、その想い出には忘れ難いものがあります。彼女は10代の頃から日本舞踊を習っていましたので、和服がよく似合い身のこなしも、とてもしとやかでした。

先輩の結婚披露宴でその彼女と再会したのは同じ中学校を卒業して以来約10年振りでしたが、お互いにしっかりと覚えていましたので満面の笑みで久しぶりの挨拶を交わしました。

そして積もる話を始め、披露宴後に何人かの同級生と共に参加した2次会でも、更に話を続けた結果、近いうちに二人で会う約束までしたのでした。

中学生時代の彼女は特に気にもならなかったのですが、20代半ばの独身女性としての彼女はとても魅力的な大人であり、ほのかな恋心を抱くまでには長い時間を要しませんでした。

先輩の結婚披露宴での再会から2・3ヶ月の間に数回会い、彼女の和服のショッピングに付き合ったり、日本舞踊の苦労話などを聴いていると、彼女も同じ気持ちが芽生えているように感じましたので、もうこれは恋愛中と言えるのでは、とワクワクした毎日を過ごすようになっていました。そして、そんな日々が数ヶ月続いた頃でした。

彼女が続けている日本舞踊の発表会に誘われ、1500人程入る市民ホールまで彼女の踊りを観に行くことになりました。初めて観る本格的な日本舞踊、そして彼女の踊り、その美しい彼女の身のこなしを観ながら「今日は絶対に特別な日にしたい」と心からそう思っていました。

やがて発表会が終わり、ロビーで彼女を待っていると花束を持った彼女が現れました。その隣には初老の男女と30歳位の男性一人が付き添うように立っていました。

そこで彼女は彼らに「こちらは私の中学時代の同級生で、日舞にも興味があるとのことなのでお誘いした方です」と私を紹介したのです。そして私には「こちらは日舞を習っている先生ご夫妻とその息子さんで、私の婚約者です・・・」と恥ずかしそうに言ったのです。

私は「素敵な踊りの発表会に誘ってくれてありがとう、そしてご婚約おめでとう」と言ってその場を去りました。そして恋愛へとは発展しなかった一つの恋が終わったのでした。

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